私たちは子どもたちのSOSをキャッチできるか

2017年11月26日 21時18分 | カテゴリー: 活動報告

11月5日、瀬谷区にある児童家庭支援センターういずの地域交流事業「わたしたちにできること 毎日新聞さいたま支局記者の山寺香さんを囲んで」が開催されました。山寺さんは、『誰もボクを見ていない:なぜ17歳の少年は、祖父母を殺害したのか』の著者です。

2014年3月に、川口市で70代の老夫婦の遺体が発見され、強盗殺人容疑で逮捕されたのは孫の少年(17歳)でした。山寺さんは、この少年の裁判をすべて傍聴し、その中で明らかになったこの少年の過酷な生い立ちを知る中で、なぜ少年を救い出すことができなかったのかという疑問をたどることから取材を重ねて1冊にまとめられました。

転居を繰り返しながら、横浜市内で少年と乳児の妹と母・義父の4人は野宿生活をしていたところ、一度は生活保護につながり、少年はフリースクールにも通っていました。しかし、母親が窮屈さを訴え一家で夜逃げ。少年は、母親に「見捨てられたくない」あまりにその後事件を起こしてしまいます。

虐待、乳児連れの野宿、居所不明児等々の要素がありながら保護されなかった少年。この少年が事件に至るまでに、行政機関や周囲の大人の目にも触れていて、救える機会はあったはずです。しかし、住民票の放置、一時保護の難しさ、居所不明児を見つけるためのシステムがない、少年が助けを求めていない、周囲の大人も気にはかけていたが一歩踏み込むことに躊躇など、いくつのも要因が複合的に絡んで「最後のつながり」がつくれなかったことが悔やまれます。この事件は決して特殊な事件ではないこと、また、社会が子どもたちのSOSをキャッチできるアンテナを持って、一歩踏み込むことが必要であることを考えさせられました。